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ストーリーズ

【従業員インタビュー】出産・育児や阪神淡路大震災、闘病も経験した35年間 仲間たちとの絆に支えられた

 

毎年3月8日は、「国際女性デー(英語: International Women’s day)」。世界各地で象徴的なミモザの花が飾られ、女性たちの活躍や功績が称えられるとともに、社会におけるジェンダーの平等や多様性について考える一日として、位置づけられています。

また、3月は、歴史の中で女性がもたらした貢献に焦点を当てると定められた「女性史月間(英語: Women's History Month)」でもあります。

日本アルコン(以下「アルコン」)では、誰もが尊重され、自分らしく活躍できる社会に、という願いのもと、2024年3月に女性従業員4名へのインタビュー取材を実施し、アルコンでのキャリア形成や自身のキャリアのターニングポイント、インクルージョンに対する思いなどについて話を伺いました。

第一回の記事では、アルコンで今年勤続35年を迎えた、瀧内 久美さんにお話を伺います。




ご入社から35年間。ご自身、そして会社自体も、数々の変化を経験してきたのではないかと思います。入社当時から現在に至るまで、アルコンの変化について教えてください。

1988年に入社した会社が、私の入社から半年後にアルコンと合併し、日本アルコンの社員となりました。眼科手術機器等を扱っていたちいさなこじんまりした会社で、大阪営業所で営業事務を担当していました。
「明日から社名が変わるよ」と言われたけど、当時は企業の合併とはどんなことなのか、あまりわかってなかったですね(笑)。自分の働く企業が、そこから瞬く間にグローバル企業になっていって、当時とは様変わりしたなと、時々ふと不思議に思うことがあります。

入社5年ほどの頃の瀧内さん(当時社内で撮影)



現在はどのようなお仕事を担当していますか。

仕事の面では、一貫して大阪営業所拠点とし、営業事務を担当してきました。今年からは、サージカル事業本部のコマーシャルソリューション統括部 コマーシャルオペレーショングループに異動し、車両管理や、データを使用した、事業のオペレーション面のサポート業務を担当しています。データ分析などでエクセル関数を頻繁に使うので、覚えることも多く、大変な一面、新しい世界にわくわくしています。



新しい業務に挑戦しているのですね。仕事において、大切にしてきたことはなんですか?

仕事では、コミュニケーションを大切にしています。「コミュニケーション能力」っていろいろな捉え方があるかと思いますが、私は、そのままの自分でいて、相手のことをありのまま受け入れることを大切にしたいと考えています。

私自身が、35年間でいろいろな経験をしてきて、中には大変なこともありましたが、アルコンにも、チームメイトにも、受け入れてもらっている実感があるので、私も一緒に仕事をする人に、「こういったらどう思われる」などと気にさせることなく、仕事をしていただけるような人間でありたいです。業務での利害を超えて、人と人同士の信頼関係を構築し、お互いに気持ちよく仕事をしたいと考えています。



瀧内さんがご経験された「大変だったこと」について聞かせてください。

いろいろありましたが、私が働く女性として直面した困難は、育児との両立と病気の発症(乳がん)です。



「育児との両立」から、お話を聞かせてください。女性も働くことが当たり前になって、出産・育児との両立に悩まれる方は多いですよね。

私が出産したころは、制度的な面も今ほどはまだ整っていなかったのかもしれません。
私は、新学期に公立の保育園に入れるまでの間、子どもを最初は民間の保育園に預かってもらって、確か産後4か月で職場復帰しました。当時は出張もありましたね。子どもを初めて預けるときのことは、今でも鮮明に覚えているんですが、ものすごく寂しくて。「なぜ私はここまでして働くのか」と思ったりもしました。



4か月ですか!育児と仕事との両立において、役に立ったことなど、今同じ悩みを持つ方にアドバイスできることがあれば教えてください。

私自身が出産当時は、育児のことを何もわかっていなくて。とにかく育児中は、他人を頼りまくりました。私の両親はもちろん、そのご友人など、とにかく近所で、子ども好きそうなおばあさん達を巻き込んで(笑)、いろいろ教えてもらったり、ベビーシッターを頼んだりすることもありました。

あとは、保育園が本当によく子どものことを見てくれましたね。困ったことがあれば、なんでも相談していました。

育児中の皆さんには、「どうか他人を頼って!一人で抱え込まないでね。」とアドバイスしたいです。



近所のおばあさんを巻き込んでって、すごいコミュニケーション能力ですね(笑)。
「一人で抱え込まない」というのは、大きくうなずく育児経験者も多そうです。

女性が「一人で抱え込まない」ためにも、男性の育児参加もその難易度を左右する重要な要素ですよね。

とはいえ育児中に「夫が転勤」…なんていう状況もあり得ますから、そうなると仕事を持つ女性は、働きながら一人で育児もしなくてはならず、本当に大変だと思います。

私が出産・育児を経験した当時と比べると、今は、産休・育休などの制度面はいろいろと整ったかと思いますが、女性が育児を一人で抱え込まなくていいように、まだまだ、制度やルールなどのハード面や、周囲の配慮や「空気」などのソフト面の両面で、社会や周りの人間にできることはあるのかもしれませんね。

2024年1月。勤続35年の表彰を受ける瀧内さん



考えさせられます。ご経験された乳がんについてもお伺いしてもいいでしょうか?

もちろんです。乳がんや子宮がんなど女性特有のがんは、若くして罹る方もいらっしゃいますし、検査がもっともっと若い方々にも浸透してほしいと願っています。



仕事をしていて、育児に介護に・・・それぞれプライベートで忙しくしていると、つい自分の身体のことは後回しにしてしまいますもんね。重要なメッセージをありがとうございます。
瀧内さんも、病気が判明して、きっとつらい思いをされたと思います。何が助けになりましたか?

病気がわかったときはショックで・・・。「まさか自分が」という思いですね。とにかくショックで、一人では抱えられなかったです。私自身の性格もあったのですが、職場の身近な方々に話さずにはいられず、がんを患ったことを話したんですが、「実は姉も」「母も」「友人も」などと身近な人ががんをご経験されたという方が意外にも結構いらっしゃって。

病気が判明してからやっぱり落ち込みましたし、孤独のようなものを感じていたのですが、周りの人たちに話を聞いてもらったことで、自分の気持ちの整理にもなりましたし、「こんなに身近なところに、自分と同じようにがんと闘ってきた方々がいるんだ」と勇気づけられました。私にとっては、周りに話せたことは救いになりましたし、その時にありのままを受け止めてもらって、本当にありがたかったです。

当時、治療と仕事を両立できるか心配でしたので、3-4か月お休みをいただいて、治療に臨みました。特に、抗がん剤治療に対して、当時漠然とネガティブなイメージを持っていて不安を覚えていたのですが、思ったよりも私の場合は身体に負担がなくて、予定よりも早く職場に復帰できました。上司もとても協力的で、本当にありがたかったです。



そのようなご経験が先ほどの、「相手のことをありのまま受け入れる」ということにもつながっているんですね。

そう思います。実は私のがんが見つかったときには、ステージ3の状態で、その後リンパ節への転移もあり2回手術を受けました。1回目は、「切れば大丈夫」くらいに思っていたのですが、2回目の手術を職場の同僚の皆さんに報告したときに関しては、もちろん私には言わないですけど、まわりは陰で「もう戻ってこれないのではないか…」ととても心配していたみたいです。そういうのも後から聞いた時には、とても温かい気もちになりました。アルコンの仲間たちの存在が、本当にありがたかったです。



職場復帰もできて、その後も活躍されていて、多くの方の希望になります。お話しいただき、ありがとうございます。
瀧内さんがアルコンでのキャリアにおいて、最も誇りに思っていることは何ですか?

実は、私は大阪営業所で阪神淡路大震災を経験しました。兵庫県の自宅で被災し、震災発生の翌々日にようやく出社できました。

当時は、大阪営業所が兵庫県をカバーしていたのですが、当時は今ほど災害時の対応なども確立されていなくて。正直何から手をつけていいのかわからない。「今何をするべきか」をほかの従業員と考え抜きました。

大きな道路はほぼ分断されていて、車も通れないという中で、ミニバイクをかき集めて、バイク隊を結成し、物資を買って得意先や困っている従業員に届けました。

お電話が通じない得意先もあり、何度も何度も連絡をして、無事を確認しようとしました。何日後かに連絡がついたときには、安堵でお互い電話越しに泣きました。手探りでしたが、仲間たちと団結して、支援物資の調達、安否確認など、全社一丸となって対応できたことは今でも誇りに感じています。



ご自身も被災された中で、お仕事でも災害の対応をされ、大変だったのではないでしょうか。

震災に際しては、もちろんつらかったのですが、全国から支援の手があり、熱い気持ちに触れる機会でもありました。

私の自宅は、ガスはしばらく使えませんでしたが、住める状態でしたので、自宅で避難生活をしながら働く日が続きました。ガスが使えない私のために、全国のアルコン社員が冷凍食品を大阪営業所まで送ってくれたり、冷凍食品ばかりじゃ栄養バランスが良くないからとお弁当を作ってきてくれる同僚のお母さんがいたり。つらい生活の中でも、皆さんの温かい気持ちに支えられました。



キャリアの中で、育児・出産や闘病に加え、震災。ものすごいご経験ですね。 日常で楽しみにされていることはありますか?

食事とお酒です。コロナ禍以前は、よく大阪営業所のみんなで飲み歩きましたね。本当に楽しかったです。最近は週末に夫と飲みに行って、おいしいお食事とお酒を楽しむのがささやかな楽しみです。

野球観戦も楽しみの一つです。私は阪神ファンなのですが、大阪・神戸支社のファンが集って観戦ツアーをすることもあります。ファンクラブに入っている同僚がいるので、その方の旗振りで、みんなでわいわい観戦しています。特に昨年は世界的な大会もありましたし、阪神が優勝してしまったものですから(笑)、大盛り上がりでした。あとは猫と戯れるのも、癒しです。

同僚との野球観戦が楽しみ

瀧内家の愛猫・ミルちゃん



素敵ですね!最後に、今年の抱負があれば教えてください。

仕事面では、先ほどお伝えした通り、今年から全く新しい職務に挑戦していて、とてもわくわくしています。

個人的には、子どもが今年社会人になるんです。子育てもひと段落するので、来る老後に備えて、新しい趣味を作りたいです!