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ストーリーズ

子どもとデジタル眼精疲労

2019年 10月 2日

デジタル機器が子どもの目に与える影響

学校での学習サポートのツールとしてコンピューター、さらにはスマートフォンやタブレット端末などのデジタル機器の導入が進んでいます。これらのデジタル機器は子どもたちの学習を効率化するかもしれませんが、その一方で、デジタル機器の過剰使用が身体に影響を与えるのも事実です。この機会に、デジタル機器が子どもの目に与える影響について考えてみませんか。

多くの大人が頭痛、ドライアイ、疲れ目、首や肩の凝りといったデジタル機器による眼精疲労であるVDT症候群(Visual Display Terminal Syndrome)に日常的に悩まされていますが、近年同様の症状を訴える子どもが増えています。

コンピューターを使った作業では、ディスプレイまでの距離は30~40㎝ですが、タブレットやスマートフォンでは15~20cmに焦点を合わせるため、近くを見るための調節が過度になると共に、過剰な輻湊*(ふくそう)をしてしまいます。

輻輳(ふくそう)とは、近くの物にピントを合わせて見る時に、両目を寄せる運動のことをいいます。近距離の物を見ようとして、過度にピント調節をすると、それに伴って過度の輻湊をしてしまいます。

さまざまなデジタル機器はもともと大人向けに作られていますが、今日、多くの子どもたちが学習または遊び目的でデジタル機器を所有し、日常的に使用しています。日本におけるデジタル機器の利用率は、2歳では37.4%と3人に1人、3歳で47.5%と約半数を占め、9歳では約90%と実に多くの子どもが使用しています1。また、子どもの1日あたりのテレビなどのメディアやデジタル機器の平均利用時間は7.75時間という調査結果が出ています2。これは米国のデータですが、デジタル機器が年々普及し、どこでも気軽に利用できる日本の社会的環境に照らし合わせてみると、この数字は日本で生活する私たちにとっても他人事ではないでしょう。とりわけ子どもの目と視覚機能は成熟していないため、このように長時間にわたって画面に向き合うと、いろいろな症状を引き起こすことがあり、さらに本人が症状を自覚していないこともあります。

子どもは問題があっても無視することが多く、目の不快感の原因が画面であると認識できているとも限りません。画面上に周辺の光が映り込んだり、デジタル機器の向きが悪くて画面が見えづらくても、それに自ら気づいて位置や向きを変えることもほとんどしないため、保護者が子どもの症状に気づく必要があります。

デジタル眼精疲労の原因は?

デジタル眼精疲労(デジタル機器の使用により起こるさまざまな目の症状)の最大の原因はブルーライトです。ブルーライトとはデジタル機器から高エネルギーを放出する光のことで、波長の中心値は約430nm (+/- 20nm)で、黄斑変性の原因になると言われています。

デジタル眼精疲労のもう一つの原因は、コンピューター画面のドットです。ドットとよばれる小さな点の並びで構成されているコンピューター画面を見ることは、紙に白黒印刷された文字を読むこととは大きく異なります。ドットを見て、そこから意味を理解しようとするとき、私たちの目はピントを調節するために、過度に緊張を起こします。画面上に、周辺の光の写り込み(グレア)があると、目への負担はさらに大きくなるため、デジタル機器を使用する時の周囲の明るさは重要です。写り込みを抑えるために、天井灯などの明るさを最小限にすることで、眼精疲労を減らすことができます。

また、画面の角度や目までの距離もデジタル眼精疲労の原因となります。画面との距離は常に肘からこぶしの先端までの長さ(ハーモン距離)を保ちましょう。画面と目の距離が近ければ近いほど、目への負担は大きくなります。

デジタル眼精疲労の症状

主な症状には目の赤み、かゆみ、乾燥感、かすみ、疲れ目、焦点が合いにくい、頭痛、首や腰の痛みなどがあります。多くの子どもは症状が出ても自分では認識できないため、子どもが画面を見ているときに表れるサインを、保護者が見逃さないようにすることが重要です。例えば、繰り返し目をこする、肩や腰に手をあてる、目を細める、焦点を合わせるのに苦労しているなどの様子が見られたら、眼科医に相談しましょう。

最近問題になっているものに、左右どちらかの黒目が内側に向かう急性内斜視(きゅうせい ないしゃし)があります。近くを見る時に両眼が寄る輻湊(ふくそう)が起こりますが、超近距離で見る時には過剰な輻湊が起こり、内斜視状態になることがあります。通常、デジタル機器の使用を中止すると治りますが、持続することもあり、現在、学会等でこの問題について議論されています。また、超近距離で見るために、輻湊が追い付かずに片目で見ていることも問題になっています。近年、世界的に子どもの近視が増加しています。まだ明確ではありませんが、目の近くでデジタル機器を使用することが原因だと考えられています。

子どものデジタル眼精疲労を防ぐには?

目の検査
目の健康のために、目の検診を受けることは、全ての子どもにとって欠かせません。学校で行われる検査だけではなく、眼科医による総合的な検査を受けることで、より正確な結果を得ることができます。3歳時、就学前の6歳時、それ以降は1年に1度、検査を受けましょう。それ以外の時にも、子どもにデジタル眼精疲労の症状が見られた場合は、眼科医に相談しましょう。

目からデジタル機器の距離
デジタル機器を20cmぐらいの距離で見ると、過度の輻輳が起こり、目の疲労にもつながります。そのため、少なくとも30cmぐらい目から離して使用しましょう。

デジタル機器の使用を制限

保護者が子どものデジタル機器の画面閲覧時間を把握していれば、より子どものデジタル眼精疲労を抑えることができます。専門家は、2歳未満の子どもはデジタル機器を控えるべきと言っています。また、3歳から18歳までの子どもに関しては、デジタル機器の使用を1日2時間以内にとどめるべきとしています。子どものデジタル機器使用を監視するのは、目の健康のためだけではありません。上述の時間以上にデジタル機器を使用することは、小児肥満、不規則な睡眠、問題行動を引き起こす可能性があります。30分ごとに子どものデジタル機器使用を監視することで、画面の見すぎによって生じる悪影響のリスクを減らすことができます。

外に出よう!

外に出ることで子どもの近視の進行を防げるという研究結果が出ています。アクティブに活動することは子どもの総合的な健康増進・維持にとても大切です。

子どものデジタル眼精疲労について理解し、対処できるようにしておくことは重要です。これからは子どものデジタル機器への接し方に注意して観察してみてください。そうすることで、デジタル眼精疲労から子どもの目を守ることができるかもしれません。

 


 

参照:

  1. 低年齢層の子どものインターネット利用環境実態調査 平成29年5月 内閣府 閲覧日:2017年8月
    http://www8.cao.go.jp/youth/youth-harm/chousa/h28/net-jittai_child/pdf/gaiyo.pdf
  2. Digital Devices and Children. Parents. Meredith Corporation. 閲覧日:2017年8月4日
    http://www.parents.com/parenting/technology/digital-devices-and-children/

本文は米国アルコンのウェブサイトで公開していた記事を、日本向けに翻訳・再編集したものです。

(監修)東京医科歯科大学 名誉教授 所 敬 先生

JP-CORP-1900003 1909

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