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糖尿病網膜症
糖尿病が強く疑われる人は740万人(2002年厚労省調査)で、その5年前の調査より50万人増加していました。糖尿病の合併症である糖尿病網膜症も増加しており、毎年3000人以上が視力を失っています。糖尿病網膜症は、病気による後天的な失明原因として、緑内障に続き2位となっています。糖尿病と診断されたら、糖尿病の治療と一緒に、眼科でも定期的な検査を受け、目の合併症が出てきたら早期に適切な治療を受けることが必要です。
どんな病気?
目の奥には、カメラでいうとフィルムの役割をする網膜という組織があります。網膜症とは、なんらかの理由でこの網膜がいたんでしまい、カメラでいうとフィルムが破損した状態になる病気のことです。糖尿病の患者さんの約40パーセントに、網膜症が起きているといわれています。
糖尿病網膜症は、進行の程度により大きく3段階に分類されます。
(1) 単純糖尿病網膜症
網膜内の血液の流れが悪くなり始めた初期段階の糖尿病網膜症です。網膜の血管のところどころに障害が出はじめ、細い血管の壁が盛り上がってできる毛細血管瘤や、小さな出血(点状・斑状出血)が起こります。たんぱく質や脂肪が血管から漏れ出して網膜にシミ(硬性白斑)を作ることもあります。
(2) 前増殖糖尿病網膜症
病気が一段階進行し、血管が詰まって、網膜の一部に血液が流れていない虚血(きょけつ)部分が生じてきた状態です。この時期は、目のかすみなどの症状を自覚することが多いのですが、まったく自覚症状がないこともあります。
(3) 増殖糖尿病網膜症
重症の段階で、虚血部分に酸素や栄養をなんとか送り込もうと、新しく生まれた血管(新生血管)が伸びてきます。新生血管の壁が破れると、硝子体(しょうしたい)に出血が起こることもあります。硝子体に出血が起こると、視野に黒い影やゴミのようなものが見える飛蚊症(ひぶんしょう)と呼ばれる症状が出たり、出血量が多いと急に視力が低下することもあります。また、増殖組織といわれる線維性の膜が出現し、これが網膜を引っ張って網膜剥離(牽引性網膜剥離)を起こすことがあります。
硝子体出血のイメージ
牽引性網膜剥離のイメージ
なぜ起こるの?
糖尿病によって血糖値が高い状態が長く続くと、血管に多くの負担がかかり、血液の流れが悪くなってきます。細かい血管が密集している網膜は、高血糖の影響を非常に受けやすいため、変形したりつまったりします。血管がつまると網膜のすみずみまで酸素が行き渡らなくなり、網膜は酸欠状態になってしまいます。そこで酸欠状態を補うため、新しい血管(新生血管)を作って酸素不足を補おうとします。しかし新生血管はもろいために容易に破れて出血を起こします。また網膜に増殖組織(増殖膜)が張ってきて、これが網膜を引っ張り、網膜剥離を起こすことがあります。
ふだん気をつけることは?
糖尿病網膜症は少しずつ進行しますが、注意しなければいけないのは、かなり進行しても、視力の低下などの自覚症状がほとんどないということです。同様に、糖尿病そのものも自覚症状の少ない病気です。ある日突然、目の前が真っ暗になったとあわてて病院に駆け込み、硝子体出血や網膜剥離と診断されることもあります。定期的な健康診断と眼科検診を受けることが早期発見につながります。
治療方法は?
単純糖尿病網膜症は血糖値のコントロールが良くなれば改善することもあります。
前増殖糖尿病網膜症では、多くの場合、レーザーを使った治療を行います。主に網膜の酸素不足を解消し、新生血管の発生を予防したり、すでに出現してしまった新生血管を減らしたりすることを目的としています。
増殖糖尿病網膜症でレーザー治療が無効な場合、病状が進行して網膜剥離や硝子体出血が起こった場合には、硝子体手術をして、出血や増殖した組織を取り除いたり、剥離した網膜を元に戻したりします。
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